病棟に入院中の園田君は時々、病棟の門限の5時になっても戻って来ないことがあります。
園田君は何だかいつも外出がちです。
今日は看護士さんたちに注意されることも多い園田君の中に起こっている苦労について、彼が当事者研究で発表することになりました。
園田君には浦河に来る以前から付き合いのある四人の幻聴さんがいることが明らかにされました。
四人の幻聴さんは園田君に「外出しろ! 」、「その場にとどまるな!」と命令します。
幻聴さんたちは随分外出好きのようです。
幻聴さんの言葉に協力して門限が守れない園田君と同じように、幻聴さんに振り回された経験のあるメンバーはミーティングの会場にたくさんいました。
園田君は命令してくる幻聴さんに「ライブラリー」、「つたや」、「キックゾーン」、「日高線」といつも行こうと誘われる場所をニックネームとしてつけました。
そして四人の風貌が明らかにされ、幻聴さんを見知った人のように思える気持ちが話を聞いているみんなの中に湧いてきました。
幻聴さんのボリュームが大きくて振り回されそうになった時、当事者のみんなは幻聴さんに対しておちゃらけてその場をしのいだり、身近にいる誰かに相談したり、幻聴さんに支配されさうな場を切り替えたり、無視したりする技を使っています。
園田君はその中から、幻聴さんに感謝の気持ちを伝え、仲間の中にいることを提案してみる技を選んでみました。
園田君は「いつも僕を引きこもらせず外に連れ出してくれてありがとう。これから仲間に会いに行くので一緒にニューべてるへ行きませんか?」と幻聴さんに語りかけることをその場でSSTを用いて練習しました。
園田君の研究には耳を傾けている看護士さんの姿がありました。
今まで語られることがなかった園田君の苦労が明らかにされて、病棟の看護士さんや仲間の中にたくさんの園田君の苦労を受け止めてくれる人の層の厚みが生まれることを向谷地さんは願っています。
園田君が練習したことを活かして、自分の行動に対して自分自身が主体性を持って行動できるようになっていくことができたらどんなに素晴らしいでしょう。
今日のミーティングが実りの多いものであることを私たちは祈ります☆
megumi
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